医療法人社団さくら会 世田谷中央病院のインタビュー
急性期病院への転換で看護師増員は不可欠 創設80年の病院による本気の待遇改善
更新日:2023/2/7
- お話を伺った方
- 医療法人社団さくら会 世田谷中央病院
- 総務・人事課 課長
- 徳保 弥
- 専門:外科、内科、小児科
世田谷中央病院は東急世田谷線「世田谷」駅より徒歩5分。1941年に創設され、1958年に現在の「世田谷中央病院」に改称されています。5年前に療養型から急性期病院へ転換し新たなスタートを切りました。現在、特に力を入れているのが看護師の採用とのこと。総務・人事課の徳保様に看護師を増やすための取り組みや、働きやすい職場環境を実現するサポート体制などを伺いました。
目次
勤務環境:看護師の衣食住を手厚くサポート 家賃補助は最大8万円
世田谷中央病院で働く方の勤務環境の概要
・家賃補助は上限8万円、年124日の休日
・社会保険、交通費支給で提携保育園有
・7年前から職員70人増
近年、急性期医療も提供するようになり、看護師の増員と待遇の改善を推し進めているそうですね。
はい。今までは療養型の病院でしたが、5年ほど前から急性期医療を提供しはじめました。より多くの看護師に来てもらえるよう、看護師の衣食住をサポートする体制をどんどん改善しています。特に改善された点は家賃補助と休日数です。まず3万円だった家賃補助上限を8万円に引き上げました。当院は災害時も拠点となるような病院を目指しているので、なるべく近くに住んでもらいたい。そのためには家賃補助の改善は不可欠です。また、今年4月に就業規則を変え、年間108日だった休日数を124日に増やしました。また、福利厚生としての産休・育休、介護休暇、看護休暇(※年間5日/未就学児一人につき)、慶弔休暇ももちろん取得可能です。院長を中心にこのような待遇改善を実施しているのですが、院長からは「看護師を増やし、より良い医療を提供する」という本当に強い意志を感じますね。やはり医療行為を提供する中で、患者さんと直接コミュニケーションを取る機会が多いのは看護師です。どうしても患者さんによる看護師の評価がそのまま病院の評価となる可能性は高くなるため、看護師の採用には一層力を入れています。
看護師を支える制度として、そのほかにはどのようなものがありますか。
社会保険や交通費支給、退職金制度(※勤続年数3年以上)はもちろんですが、一律63歳までの定年制、65歳までの再雇用制度を用意しています。また、女性単身者には女子単身寮、お子様を育てながら働かれる方には提携保育園もあります。
そして衣食住の「衣」については、制服を3年に1回新品に替えるほか、スクラブと白衣の2種類から選べるようにしています。「食」については直営の職員食堂で調理師のよる温かくておいしい料理を提供しており、夜勤者には夜と朝にお弁当を支給しています。その一方で教育体制やキャリア開発にも力を入れており、看護師の実践能力レベルを明確にした「クリニカルラダー」制度と専門知識を補うeラーニングを導入することで、職員の能力をきちんと給料に反映できる体制を整備しました。
なお、現在基本給は、看護師が月給200,000円〜280,200円、診療情報管理士が月給240,000円~300,000円、医療事務が月給195,000円~250,000円となっています。また、昇進・昇給のタイミングは年1回で不定期、賞与は昨年実績で支給額は2.6ヶ月分(年2回)です。
看護師の待遇を中心に、病院全体の体制が大きく変わったのですね。
そうですね。私は7年ほど前から当院で働いていて、当時の職員数は150名ほどだったのですが現在は220名ほどになっています。看護基準は年々改善されているほか看護師以外の職員も積極的に増員しており、医療体制だけでなくそれをサポートする事務方の体制も改善しています。たとえば水漏れや電気系統のトラブル、電子カルテの不具合などは、すべて総務が対応するのではなく、新たに施設管理や情報管理の部門を設置することで迅速かつ適切に対処できるようになりました。常勤のSE(システムエンジニア)を雇っているほか、CE(臨床工学技士)やNP(診療看護師)も入り、それぞれの分野でプロフェッショナルが活躍する体制を整備しています。さらに、最近では常勤の麻酔医も入りましたので、病院全体の質が上がっているところだと思います。当院の建物自体は決して新しいものではありませんが、その代わり内部の体制や制度、待遇の改善を続けて職員のパフォーマンスを高めていける場所でありたいと思っています。
キャリア:関連施設も世田谷に集中 法人内異動・転業も勤務地はほぼ同じ
世田谷中央病院で働く方のキャリアの概要
・外来の夜勤は2名体制
・病院だけでない法人内異動可能
・他部署との交流が多く風通し良
看護師の平均超過勤務時間や、超過した場合の応援体制について教えてください。
看護師の場合の基本的な勤務時間は08:30~17:00(休憩 60分)となり、平均超過勤務時間は月間平均10時間です。しかし、病棟ごとでバランスが崩れる場合もあるので、リリーフという形で他の課から応援を出せる体制はとっています。また、外来の夜勤は、これまで1名体制だったのを2名に増やし、夜の外来が少ないときには病棟の手伝いもできるようにしています。
他の診療科や部門への異動に関してはどのような制度がありますか。
まさに当院の強みといえる点なのですが、医療法人内には病院だけでなく老人保健施設、グループホーム、訪問看護ステーション、デイサービスといったさまざまな施設を運営しており、しかもその多くが当院のすぐ近くにあります。そのため、職員の目指すキャリアや生活環境の変化、加齢にともなう身体的な変化などにあわせた法人内異動が可能です。看護師が他の診療科へ移るのはもちろんのこと、看護師から介護施設や事務局に転業も、反対に事務方から看護師を目指すことだってできます。
病院のみならず医療法人全体での柔軟な異動が可能なのですね。
5年前に急性期医療へ転換するにあたり、管理部門の体制も大きく替わったんです。それ以降、管理職の会議が増えただけでなく、他の部署との交流も盛んになり、全体的にコミュニケーションが活発になってきていると思います。診療科間だけでなく部署間の交流も増えているので、職員も安心して異動できるのではないでしょうか。以前は病棟ごとの交流もなく、他病棟にいる看護師の名前も知らないような状態でしたが、今はよく連携が取れていて風通しも良くなっていると感じます。
心身のケア:院内に弁護士が常駐 安心のハラスメント相談窓口
世田谷中央病院で働く方の心身のケアの概要
・常駐の弁護士によるハラスメント相談窓口を設置
・トラブルがあった場合、人員配置の変更有
・休職、復職者へは特別プランでサポート
職場における人間関係のトラブルはどのように対処していますか。
当院は常駐の弁護士によるハラスメント相談窓口を設置しています。「上司からパワハラやセクハラを受けている」など同僚に相談しにくい内容も、直接弁護士に問い合わせできるようになっています。弁護士はその内容を管理部門や院長に報告することもなく、すべて弁護士のほうで解決してもらっていますので安心です。弁護士を常駐する病院は珍しいと思いますが、パワハラやセクハラなどは第三者によって、法的に対処されるべきものだと考えています。
同僚とのトラブルがあった場合はいかがでしょうか。
基本的には上司や事務長、総務などを含めて解決を目指します。ある科でトラブルがあったとしたら、まずその科の全員にヒアリングをかけ、中立的に状況を把握していきます。そしてその結果を上司と事務長に伝えて対処する、という流れです。そこで円満に解決すればいいですが、そうでない場合は人員配置の変更することもありますね。
もし職員が体調を崩すなどで休職した場合、どのようなサポートがありますか。
まず休職している期間は、同僚や上司とは連絡を取らせないようにして、基本的には総務との連絡のみになるよう手配します。そのうえで産業医やかかりつけ医、事務長などを交えて休職期間を決めますが、休んでいる間にも、産業医面談をしてもらい状況を確認しています。そして復帰する場合は、やはり産業医や事務長と話し合いながら復帰プランを立てるんです。最初の数ヶ月は時短にしたり週3日勤務にしたりと、復帰する人にとって無理のない計画で復帰してもらい、経過を見ながら徐々に通常勤務に戻る支援を行います。
求職者へのメッセージ
看護師を増やすべく、本気の待遇改善をおこなっています!看護師は病院の「顔」ともいえる存在で、良い医療を提供するには不可欠です。たくさんの看護師に当院を選んでもらえるよう、家賃補助や休日数の増加など思い切った改革をおこないました。
院長はじめ管理部門は、看護師を増やすべく本当に強い意志を持って待遇改善に取り組んでいます。また、SEやME、弁護士といった専門家を集めることで、それぞれの活躍できるような環境を整備しています。
当院の理念は「やさしさ(Yasashisa)・思いやり(Omoiyari)・機敏さ(Kibinsa)」の頭文字をとった「YOK(ヨーク)」の精神。この理念をもとにした教育体制によって、「看護のプロフェッショナル」としての実践能力を高められる環境を用意しています。
施設情報
診療時間
| 月 | 火 | 水 | 木 | 金 | 土 | 日 | |
|---|---|---|---|---|---|---|---|
| 午前 | 9:00~12:00 | 9:00~12:00 | 9:00~12:00 | 9:00~12:00 | 9:00~12:00 | 9:00~12:00 | 休 |
| 午後 | 13:00~17:00 | 13:00~17:00 | 13:00~17:00 | 13:00~17:00 | 13:00~17:00 | 13:00~17:00 | 休 |
祝日休み
病床数
131床 (地域包括ケア病棟 25床)