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介護負担を軽減!「介護助手」普及に厚労省が新事業を計画|業界ニュース

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目次


団塊の世代が75歳以上をむかえ、医療・介護等の需要が急増する2025年。

介護現場の負担軽減と介護サービスの充足のため、介護専門職のサポートをおこなう「介護助手」の活躍に注目が集まっています。介護助手に対する現場のニーズは高いものの、担い手の確保が課題となっていました。

厚生労働省は2021年8月に発表された2022年度の予算概算要求で「介護助手等普及推進員(仮称)」を新設しました。これは「介護助手等の普及を通じた多様な就労の促進」を目的とし、介護職の負担軽減と労働環境の改善が期待される新事業です。


介護助手等普及推進員(仮)で介護人材発掘をねらう

「介護助手等普及推進員(仮)」新設のための予算概算要求を提出

厚生労働省は身体的介護以外の業務や、介護専門職のサポートを行う「介護助手」の普及と雇用促進を目指し、「介護助手等普及推進員(仮)」を2022年度に新設します。

介護助手等普及推進員(仮)は各都道府県の福祉人材センターに配置されるということです。介護助手等普及推進員(仮)が介護助手希望者と介護事業者双方に働きかけることで、介護人材の発掘・育成と雇用のマッチングを目指しています。

予算概算要求では3億円を計上。介護助手等普及推進員(仮)の人件費や都道府県への補助経費として利用される方針です。

参考:厚生労働省「令和3年度予算概算要求・Ⅲ主要事項」


介護人材の確保が急務

2021年7月9日に厚生労働省が報告した「第8期介護保険事業計画に基づく介護職員の必要数について」では、年間約5.5万人増のペースで介護人材の確保が必要とされています。

介護の現場では利用者の見守りや対応、話し相手、身の回りや生活環境の調整、清掃、片付け、物品の準備などといった、すべての業務を介護専門職が担っています。介護専門職がより専門的なケアを行う時間と労力が奪われていました。

身体介護や専門的なケア以外の担い手として、活躍を期待されているのが「介護助手」なのです。


22年度の厚労省・予算概算要求と介護助手普及の取り組み

予算概算要求から読み解く「介護分野」への国のアプローチ

厚生労働省は地域包括ケアシステムを構築するため、「安心で質の高い医療・介護サービスの確保」を目指し、さまざまなアプローチを行っています。

具体的には以下のようなアプローチを行っています。

  • 地域支援事業の推進
  • 介護の受け皿整備
  • 介護人材の確保
  • 介護施設での防災・減災対策の推進
  • 介護分野での生産性向上に向けたICTやロボットの活用
  • 介護職員の処遇改善、就労支援
  • 外国人受け入れ整備
  • 認知症政策 など

これらの施策を実行するために、2022年の予算概算要求では約3兆5千億円が計上されています。予算概算要求の10%を占めており、国としても介護分野のサポートに力を入れていることがわかります。

参考:厚生労働省「令和3年度 予算概算要求の主要事項」

2022年度は「介護人材の確保」が重点課題とされ、多くの予算が配分されています。地域の実情に即した人材確保対策の促進に向け、人材マッチングやキャリアアップ支援に関連した経費や人件費の補助が行われます。

こうした取り組みの一環として、介護専門職の負担軽減を目的とし、全国で「介護助手」の増員と普及がすすめられています。介護助手は資格こそありませんが、多くの業務を代行・補助し、介護専門職が業務に集中できるようにサポートします。

けれども介護助手配置のメリットが現場や事業者にあまり浸透しておらず、普及が進んでいないのも事実です。


介護助手を積極導入している三重県の事例

全国に先駆けて、介護助手を積極的に導入している地域があります。その1つが三重県です。

2015年には「元気高齢者による介護助手モデル事業」を開始しました。2019 年には県独自の介護助手導入実施マニュアルを策定し、介護助手の普及に力を入れています。

三重県は介護助手導入の効果を以下の様に報告しています。

[ 三重県の介護助手導入の効果3つ ]
  1. 「介護職員の業務量が軽減した」と84%の職員が回答
  2. 「介護職員が気持ちにゆとりを持って業務ができるようになった」と52%の職員が回答
  3. 介護助手導入前の離職率12.1%が導入後に5.1%まで低下

介護助手の導入が現場の負担を軽減し、働きやすい環境が整備され、離職率が低下することが三重県の報告から明らかとなっています。

国は全国に介護助手を普及させることで介護現場の労働環境や人員不足の改善を図ろうと、この新事業に力を入れているのです。

参考:三重県「介護助手導入支援事業について」/「介護助手導入マニュアル」/「介護助手導入支援について」


介護助手の普及を推進「介護助手等普及推進員(仮)」とは?

介護助手等普及推進員(仮)は各都道府県の福祉人材センターに配置され、各都道府県最低1名の配置を目標としています。

介護助手等普及推進員(仮)の主な仕事は以下の5つが想定されています。

  1. 介護助手の仕事のPR・ニーズの発掘
  2. 地域の実情に即した人材発掘と確保の推進
  3. 求職者と雇用者のマッチング
  4. 介護助手の研修の計画と実施
  5. 長期的な雇用のための処遇・労働環境の把握と改善

推進員の詳しい要件や保有資格は今後調整されますが、認定介護福祉士、社会福祉士、社会保険労務士や介護福祉系の経営者が想定されています。

介護にまつわる制度や地域特性を理解し、コンサルティングやマネジメントができる人材がより適任と考えられています。


まとめ

介護現場の人材不足に対しては介護専門職の育成だけでなく、他職種・他分野からの介護職への参入、外国人労働者の確保などさまざまな施策が取られています。

しかし、かつてない速さで進む高齢化のスピードは、十分な施策の効果を実感するまもなく進み、介護現場を疲弊させています。将来的には、少子高齢化の影響で現役世代人口が減少するため、さらなる介護の担い手不足が懸念されています。

介護助手等普及推進員(仮)は「人材発掘」も重要な仕事です。

地域のニーズを踏まえ、元気高齢者や主婦が介護現場に興味を持ってもらうような働きかけが求められています。特に元気高齢者は何らかの形で就労したいと考えている人も多く、介護助手の普及は、雇用機会を創出することにもつながるでしょう。

介護に興味を持ってもらい、求職者のニーズも満たして働けるようにするにはハードルが高く感じるかもしれません。

「1日2-3時間程度から仕事に携われる」「社会貢献ができる」「地域で活躍できる」などをキーワードとし介護助手の求職を行う介護事業者が増えています。

介護助手等普及推進員(仮)の新設・普及によって、介護助手などの人材発掘と事業所へのマッチングを円滑にし、より働きやすい・負担感の少ない労働環境の構築、離職率の低下をもたらすことが期待されています。



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