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【保育士のキャリアアップ研修】研修内容や処遇改善による給料アップについて解説

  • 業界・資格ノウハウ

目次

保育園では今まで、園長と主任保育士のみ役職手当が支給され、そのほかの保育士は責任のある仕事をこなしても手当がないのが基本でした。しかし、キャリアアップ研修制度の普及により、保育士の昇進や処遇改善が期待できるようになりました。

しかし「キャリアアップ研修って私も受けられる?」「どんな研修内容?」と、具体的な受講内容を知らない人も多いのではないでしょうか?そこでこの記事では、キャリアアップ研修の内容や受講により期待できる待遇について解説します。



保育士のキャリアアップ研修とは?

保育士のキャリアアップ研修は、処遇改善制度の取り組みのひとつとして始まった制度です。今まで保育士は、とくに役職を与えられることなく、さまざまな課題への対応や新人指導をおこなってきました。

キャリアアップ研修は、そうした職務内容に応じた専門性の向上を図るために設けられた研修です。ここからは、保育士の処遇改善制度や新しく設けられた役職について解説します。


保育士の処遇改善のために設けられた制度

処遇改善とは、簡単に言い換えると給料アップのことを指します。 保育士の人材確保や質向上のために給料アップを目的に設けられたのが処遇改善等加算制度です。処遇改善等加算には、ⅠとⅡがあるので、それぞれの概要を解説します。


保育士処遇改善等加算Ⅰ

保育士処遇改善等加算Ⅰは、2015年に導入された制度です。保育士だけでなく、保育園で働くすべての職員が対象となり、職員の平均勤続年数によって加算額が決まります。加算が実施されるのは、次の項目です。

  • 平均経験年数の上昇に応じた基礎分
  • 保育士の給料アップに対する賃金改善要件分
  • キャリアパス構築の取り組みに対するキャリアパス要件分

処遇改善等加算Ⅰは、この3つの要素が基本となっています。上記の賃金引き上げ分に応じた加算が保育園に支給される仕組みです。


保育士処遇改善等加算Ⅱ

保育士処遇改善等加算Ⅱは、2017年に導入された制度です。今回解説するキャリアアップ研修は、この保育士処遇改善等加算Ⅱの一環として始まりました。

今までは園長や主任だけが手当を加算されていましたが、この処遇改善とともに新しい役職が設けられました。役職に就くためのキャリアアップ研修の仕組みをつくり、役職についた保育士への処遇改善を行うことが目的です。

参考:施設型給付費等に係る処遇改善等加算Ⅰ及び処遇改善等加算Ⅱについて


新しく設けられた役職

保育士処遇改善等加算Ⅱにより、新たに追加された役職は職務分野別リーダー・専門リーダー・副主任保育士の3つです。それぞれの役職につくには、定められた要件をクリアし、キャリアアップ研修を受講する必要があります。それぞれの役職の概要は次の通りです。


職務分野別リーダー

職務分野別リーダーは、経験年数おおむね3年以上が必要です。また、幼児保育や食育・アレルギー対応といった担当する職務分野の研修を修了する必要があり、修了した研修分野のリーダーとして活躍します。


専門リーダー

専門リーダーは、経験年数おおむね7年以上が必要です。また、職務分野別リーダーを経験、4つ以上の分野の研修を修了している必要があります。勤務年数が長く、分野ごとの知識が豊富な中堅保育士として、職務分野別リーダーの頼りになる立場といえるでしょう。


副主任保育士

副主任保育士は、経験年数おおむね7年以上、職務分野別リーダーを経験している必要があります。また、マネジメントとそのほか3つ以上の分野の研修修了が要件です。主任保育士のサポートを行いながら、新人保育士の育成を担います。


キャリアアップ研修によって期待できる処遇

キャリアアップ研修の受講によって役職につければ、職務分野別リーダーは月額5千円、専門リーダーと副主任保育士は月額4万円の処遇改善が行われます。

そのほか、さらなる質の向上の一環として、全職員に対して月額6千円程度の処遇改善もあり、給料アップが期待できます。

参考:厚生労働省「保育士のキャリアアップの仕組みの構築と処遇改善について」



【分野別】キャリアアップ研修の受講内容

保育士のキャリアアップ研修は、保育園でのリーダー的職員の育成に関する研修として実施されます。保育士育成の一定の水準を確保するために、研修内容や研修の実施方法などのガイドラインが策定されています。ここからは、保育士等キャリアアップ研修ガイドラインに基づき、研修の対象者や研修分野の概要を解説します。


キャリアアップ研修の受講対象者

キャリアアップ研修は、初任〜中堅までの保育士が対象です。ほかの保育士に助言・指導するリーダー的な役割を担いたい人であれば、誰でも受講できます。また、対象はフルタイム保育士だけでなく、派遣やパートなど雇用形態は問われません。役職につくための経験年数はおおむねであり、それぞれの保育園の職員の状況を踏まえて決定します。

そのため、保育園と相談のうえ、特定の分野に関してリーダー的な役割を担うことが見込まれるようになってから受講すると良いでしょう。具体的には、職務分野別リーダーを視野に入れ始める勤務年数3年あたりからの受講が望ましいといえます。


キャリアアップ研修に設けられている分野

キャリアアップ研修には、次の8つの研修分野があります。

研修分野 ねらいや内容
1.乳児保育 主に0~3歳未満児向けの保育内容を学ぶ/乳児保育への理解・環境構成・保育力・実践力を身に付ける
2.幼児教育 主に3歳以上向けの保育内容を学ぶ/幼児教育への理解・環境構成・教育力・実践力を身に付ける
3.障害児保育 障害児に関する理解を深める/適切な計画の立案/発達力に応じた指導力や実践力を身に付ける
4.食育・アレルギー対応 食育に関する理解を深める/食育計画の作成と活用/アレルギー対応や適切な助言がおこなえるよう実践力を身に付ける
5.保健衛生・安全対策 保健衛生・安全対策に関する理解を深める/保健計画の作成と活用/適切な指導ができるよう実践的な力を身に付ける
6.保護者支援・子育て支援 保護者支援・子育て支援への理解を深める/適切な支援を行う力や実践的な能力を身に付ける
7.マネジメント ミドルリーダーの役割を担うためのマネジメント・リーダーシップ能力を身に付ける/人材育成や働きやすい環境づくりを学ぶ
8.保育実践 子どもへの理解を深める/保育者主体の遊びと環境を通じた保育の展開を行う能力を身に付ける

参考:厚生労働省「保育士等キャリアアップ研修ガイドラインの概要」

ひとつの分野に対して15時間程度の研修時間が必要です。また、研修は専門分野研修・マネジメント研修・保育実践研修に分けられます。ここからは、それぞれの分野ごとの研修内容を解説します。


1~6:専門分野別研修

専門分野別研修は、前述した1〜6の分野が対象となります。各専門分野のリーダー的な役割を担う保育士が対象です。また、役割を担うことが見込まれる場合も対象となります。

新たな役職として追加された、職務分野別リーダーを目指すためには、上記の中の担当する職務分野の研修の修了が必要です。また、4つ以上の分野の受講により専門リーダーも目指せます。


7:マネジメント研修

マネジメント分野の研修は、マネジメント・リーダーシップの能力を身につけることが目的です。受講対象者は、各分野におけるリーダーを経験し、主任保育士の下でミドルリーダーの役割を担う、または担うことが見込まれる保育士です。副主任保育士の役職につくためには、このマネジメント研修が欠かせません。


8:保育実践研修

保育実践研修は、保育の環境構成や子どもとの関わり方、身体を使った遊びなど、保育の展開を行うための実践的な研修です。キャリアアップとしてはもちろん、実習経験の少ない保育士試験合格者や潜在保育士の受講もおすすめです。


キャリアアップ研修の受講方法

キャリアアップ研修は、主に都道府県が指定した研修機関で受講できます。

修了資格は全国共通なため、転職時にも役職を担う力があるという大きなアピールポイントとなるでしょう。委託を受けてキャリアアップ研修を行う機関は、各都道府県のホームページにて一覧を確認できます。なお、企業主導型保育に従事する人向けのキャリアアップ研修は、認可保育園等の処遇改善等加算の対象にならない可能性があるため注意してください。

東京都保育士等キャリアアップ研修 指定研修実施機関一覧
大阪府保育士等キャリアアップ研修 指定研修実施機関一覧

キャリアアップ研修を受講できる機関には以下のような3つの種類があります。


指定保育士養成施設の講義に参加する

キャリアアップ研修の参加方法には、都道府県からの委託を受けている大学や短期大学、専門学校などの指定保育士養成施設の講義に参加する方法があります。

各都道府県のホームページに記載されている指定研修実施機関一覧から探します。講座の内容や受付方法は各学校のホームページにて紹介されています。受付開始時期や研修日時はバラバラのため、ご自身の仕事の都合が付くものを選ぶと良いでしょう。先着順、抽選など受付方法もさまざまです。


保育団体などが主催の講義に参加する

キャリアアップ研修を実施しているのは、指定保育士養成施設だけではありません。社会福祉法人や一般社団法人などの非営利団体も、都道府県からの委託を受けて開催しています。こちらも、各都道府県の指定研修実施機関一覧から探せます。


eラーニングなどオンラインで受講する

キャリアアップ研修への参加を「講義を受けに行く時間が確保できない」「日程が合わない」などの理由から悩む人も多いでしょう。そのような人は、場所や時間を問わずに受講できるe-ラーニングを取り入れている機関を選ぶのがおすすめです。

新型コロナウイルスの影響により、オンラインでの研修に切り替えている機関もありますので、開催方法をしっかりチェックして申し込みましょう。

参考:CareRaku/公益財団法人 児童育成協会「企業主導型保育事業」



保育士のキャリアアップ研修に関するよくある質問

保育士のキャリアアップ研修が「自分も対象になっているなんて知らなかった」という人も多いのではないでしょうか?保育園によっては、具体的な周知がされていないこともあるでしょう。そこでここからは、保育士のキャリアアップ研修に関する、よくある質問をご紹介します。

Q.研修を受けたら必ず給料が上がる?
保育士のキャリアアップ研修を受けて役職につければ、給料アップが期待できるでしょう。しかし、対象となる職員の数は保育園内によって異なります。そのため、役職につく力量があるものの処遇改善の対象にならない可能性もあります。「研修を受けたら必ず給料が上がる」とは言い切れません。キャリアアップ研修とは別に、保育士全体の処遇改善も実施されていますので、詳しくは厚生労働省の「保育士のキャリアアップの仕組みの構築と処遇改善について」を参考にしてください。

Q.保育園を通さず個人でも受けられる?
申し込みや受講自体は個人で行えます。しかし、開催機関によっては事業所名や園長印が必要なケースもあるので注意しましょう。また、研修は数日に分けて参加しなければならないため、保育園内での勤務調整が必要です。

Q.研修を受けている間の仕事はどうなる?
キャリアアップ研修受講の取り扱いは、勤務先の保育園によって異なります。業務の一環として「研修」「出張」と位置づけ、勤務時間内の参加が認められているケースもあります。しかし、研修への参加は個人の希望で「有給」「早退」の対応するよう促されることも珍しくないため、申し込み前に勤務先に確認してみましょう。

Q.研修はいつまでに申し込みが必要?
キャリアアップ研修の申し込み期間や実施日時は開催する機関によってさまざまです。また、定員になり次第締め切る講座も多いようなので、希望の講座があればホームページをこまめにチェックしておきましょう。講座は「東京都保育士等キャリアアップ研修 指定研修実施機関一覧」のように、都道府県ごとの指定研修実施機関一覧から探せます。

Q.研修にかかる費用は自己負担?
研修にかかる費用も、開催する機関によって異なります。無料で受講できるものも多くありますが、なかにはテキスト代や参加費用がかかるケースもあります。「保育園の経費」ととらえ、保育園に請求できるケースもあるようですが、それぞれ対応が異なりますので勤務先に確認してみましょう。

Q.研修にはどのような服装で参加すればいい?
基本的には座学のため、服装の指定はありません。e-ラーニングやZoomでの参加であれば服装を意識しなくても良いですよね。保育実践研修は、身体を動かす遊びを実践する可能性があるので動きやすい服装がおすすめです。

Q.保育士のキャリアアップ研修は大変?
保育士のキャリアアップ研修は、ひとつの講義に対して15時間程度の受講が必要です。そのため、働きながら複数の講座を受講するのは、とても大変だといえます。研修機関によりますが、修了試験にレポートの提出が求められることもあります。特別な理由でない限り、遅刻・欠席・早退なども認められないため、ご自身のスケジュールに無理のない講座を選ぶと良いでしょう。



まとめ

保育士のキャリアアップ研修は、初任者から中堅までさまざまな保育士が受講できます。経験年数や役職によって対象となる受講分野が異なるので注意しましょう。

キャリアアップ研修を受講し、役職につければ処遇改善費から手当が加算されます。給料の低さに悩んでいる人や、講義によって専門知識を深めたい人は、ぜひ受講を検討してみてはいかがでしょうか?キャリアアップ研修の修了証は、転職時にも良いアピールとなるはずですよ。

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ライター 山本あやか
元保育士で現在はライターとして活動中。保育士歴は10年で2児の母。幼稚園教諭一種免許と保育士資格を持つ。


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